日本語学2022年夏号(特集:宮地裕先生追悼、外国語が変えた日本語)vol.41-2

甲斐睦朗 監修, 荻野綱男 監修, 近藤泰弘 監修

3,410円(税込)

明治書院

◆「宮地裕先生追悼」

 長年日本語研究で指導的立場にあった宮地裕先生の訃報が伝えられた。
 先生は、本誌創刊時から現在に至るまでの40数年間、編集委員代表、後に監修者として編集に寄与された。かつて古稀記念に際しては、門下生による『宮地裕・敦子先生 古稀記念論集 日本語の研究』(1995年)を小社から出版され、それから26年経った昨年2021年2月に先生は逝去された。本特集は、長らくご指導いただいた宮地先生の追悼特集である。
◯宮地裕先生の学問とお人柄 森山卓郎
◯科学・教育・学問 小見 宮地裕
 ――『宮地裕・敦子先生古稀記念論集 日本語の研究』(一九九五、明治書院)より――
◯宮地裕 略歴
◯宮地裕先生の思い出 甲斐睦朗
◯語構成研究と日本語学 野村雅昭
◯体系としての敬語の分類と敬語行動 荻野綱男
◯「丁重語」について 近藤泰弘
◯教育施策の用語問題 田中牧郎
◯日本語教師の「資格」を巡って 金田智子
◯宮地先生が大切にされていたこと 佐竹久仁子
◯「敬語の混乱」のゆくえ 佐竹秀雄
◯たくらみを感じさせない人 吉田直樹
◯宮地先生を偲んで 常田寛
◯密やかなカリスマ 三樹讓

◆「外国語が変えた日本語」
 日本は、さまざまな外国の社会制度や文化などを受け入れる際に、アレンジを加えて日本独自のものに変えて受容してきた。日本語にもその一つとして捉えうる点が随所に見られる。
 外国からの言語の影響には、具体的にどのようなものがあり、またその程度はどのくらいであるのだろうか。それは日本語のいわゆる国際化やガラパゴス化とはどのような関係にあるのだろう。そもそも外国語の影響を受けない日本語というものは、一体どのようなものであったのだろうか。
 根源的な日本語の姿と、外国語を種々に受け入れカスタマイズしてきた様相、そして外国語の影響の現状を多角的にあきらかにする特集としたい。
◯漢字音・外来語音と日本語の音韻体系 肥爪周二
◯アニメ『ドラゴンボール』における「気」のアクセント 加藤大鶴
 ――漢語アクセント形成史の断線から――
◯外国語が変えた日本語:語彙(訓点語) 小助川貞次
 ――漢文の訓読によりて伝へられたる「誤報」――
◯外国語との接触により生じた翻訳漢語 櫻井豪人
◯外来語は「在来語化」する 塩田雄大
 ――外国語は日本語を変えた(のか?)――
◯漢字が変えた日本語 瀬間正之
 ――別訓流用・字注訓・字形訓の観点から――
◯国語におけるローマ字つづり方とローマ字教育の課題 茅島篤
 ――回顧と展望 世界と日本語をむすぶローマ字――
◯日本語書き言葉史における変体漢文 田中草大
◯訓読体 齋藤希史
 ――近世から近代へ――
◯欧文直訳体の形成 齋藤文俊
 ――漢文訓読から欧文訓読へ――

【連載】
[校閲記者のこの一語]本間浩之
[日本語が消滅する時]山口仲美
[社会と心に向かう言葉学]荻野綱男・宇佐美まゆみ・菅井三実
[ことばのことばかり]はんざわかんいち
[国語の授業づくり]加藤玲奈