日本語学2021年秋号(特集:命名、書道から見た日本語)vol.40-3

甲斐睦朗 監修, 荻野綱男 監修, 近藤泰弘 監修

3,410円(税込)

明治書院

【特集】命名

 世の中には、無数の事物があり、それらのほとんどに名称が与えられる。国語辞書に載せられているものは主なものに過ぎない。
 細々とした物事に対して、どこで誰がどのようにして名称や定義を決めているのだろうか。既存の名称を正確に定義付けしようとする場合、どのような手順が取られているのであろうか。また新たなものが発見された場合、どのような手続きで名称が定められていくのだろうか。その実際について詳しく、また幅広くとらえていきたい。

◯マーケティング効果の高い商品名とは 飯田朝子
◯家電製品・清涼飲料・自動車の名前 蓑川惠理子
◯商品名を表記する文字種 増地ひとみ
◯辞書の名前 木村一
◯色の名前のはなし 島森功
◯生物の名前と分類 岡西政典
◯人体の部位と病気の名前 西嶋佑太郎

【特集】書道から見た日本語

 書道は、日本語を毛筆や硬筆を用いて書き表す芸術であり、文字を美しく表現する技術でもある。巷間でも習字やペン習字は、比較的気軽に取り組まれている。そこでは、たとえば調和体では日本語の文章を書き写したり書き記したりしている。ひらがなだけの創作の書もあれば、漢文をしたためる臨書もある。文字性を否定した墨象も位置を確立している。
 書道は、芸術にかかわっている一方で、書写は国語教育に位置づけられており、両者は一定の距離をたもっているようにも見える。また、それらの素材として、古文、漢文、そして近現代の詩や小説などが選ばれるが、作品においてはそれらの何を伝えようとして、どのように表現することが行われ、また求められているのだろうか。
 書道や書写は、漢字の字体や書体を理解する格好の機会ともなるはずである。書道、書写と国語における漢字教育との連携の可能性についても考えてみたい。

◯手書きによる文字認識について 財前謙
◯対立の構図から今日の書道教育を理解する 松本仁志
◯書写教育の現状とあり方 押木秀樹

◉連載
[日本語が消滅する時]山口仲美
[エッセイ 社会と心に向かう言葉学]井上史雄・広瀬友紀・半田淳子
[国語の授業づくり]豊田佐和子
[ことばのことばかり]はんざわかんいち
[校閲記者のこの一語]田角早紀