エラーが発生しました。
◆「国語に関する世論調査」―日本語意識の現在―
文化庁文化部国語課が実施している「国語に関する世論調査」は、常用漢字表の改定をはじめとした国語施策に役立てられてきた。また、その目的に「現代の社会状況の変化に伴う、日本人の国語意識の現状について調査し」とも謳われているように、新しい社会状況に応じた調査項目が設定され、日本語に対する意識の先端的な動きもとらえようとしてきた。そして、1995年度から2019年度まで25年もの間毎年行われ、同趣の質問を数年おきに調査する設問もあり、日本語意識の経年的な変化も追跡できる。
本特集は、「国語に関する世論調査」の特徴や意義を確認し、その調査結果を分析することを通して、日本人の日本語意識の現在について考える。
○「国語に関する世論調査」とは何か 武田康宏
――国語施策の立案と興味・関心の喚起を目的として――
○社会言語学からみた「国語に関する世論調査」 田中ゆかり
――調査デ―タの用途と活用の観点から――
○二五年間の「国語に関する世論調査」に現れた漢字などに関する意識 笹原宏之
○「国語に関する世論調査」に見る敬語意識 滝浦真人
――言葉と行為のはざまに見えるもの――
○『国語に関する世論調査』における国語力 森山卓郎・李光赫
○「国語に関する世論調査」に見るメディア接触 三宅和子
――グロ―バル化、電子化、多様化を背景にした大変化――
○「国語に関する世論調査」に見る外来語の動態 久屋愛実
――外来語を考える四つの視点――
○「国語に関する世論調査」(新語・新用法)の項目候補 新野直哉
――“返り討ち”“万端”――
○「日本語の国際化」は何を目指そうとするのか 宇佐美洋
――「国語に関する世論調査」に見られる理念の欠如――
○「国語に関する世論調査」に見る属性差 鑓水兼貴
◆翻訳から見えてくる日本語らしさ
研究の国際化が進む今日において、日本語や日本語学の文献を翻訳することで様々な日本語・日本語学の独自性が立ち現れてくるに違いない。
各国語の研究者たちが翻訳経験をふまえて、その実相について具体的な例とともに明らかにする。
○英訳から見えてくる日本語学用語の長所と短所 ジスク マシュー
○フランス語への翻訳を通して向き合う日本語学 デロワ中村弥生
――概説書翻訳過程で(再)発見した日本語・日本語学の独自性――
○「配慮」の日本語 ソン エミリー
【連載】
[甲斐睦朗エッセイ]………甲斐睦朗
[ことばのことばかり]………はんざわかんいち
[校閲記者のこの一語]………諸田佳祐
[国語の授業づくり]………馬場祐一