日本語学2019年3月号(特集:「書けない」生徒が増えている)vol.38-3

宮地裕 監修, 甲斐睦朗 監修

1,210円(税込)

明治書院

◆「書けない」生徒が増えている 

今日、学校教育の中で「書くこと」の時間や場面が減っている。それは、国語の授業以外においても多く、ワークシートの限られた範囲に、語や句を書き込むと言った授業が多いこともある。さらに、SNSやスマホによる書き込みは、文レベルに留まり、文章を書く、ということに至らない場合が多い。
 大学入試の二次試験は、書くことが多く求められている。しかし、それは、大学受験を目的として書くことを行っているにしか過ぎない。
 この様な状況が続けば、文章を書くことが少ないまま、大人になってしまう。せめて、中学校や高等学校では、「書くこと」復権を図り、文章を書くことを日常的に行う状況を作らなければ、時代の大人達は、文章を書くことができなくなってしまわないだろうか。
 そこで、中学校と高等学校で、どの様に「書くこと」の指導を行ったら、この状況を少しでも改善できるかと、考えたい。

〇書けない生徒が増えている 髙木展郎

〇書けない原因の究明と課題解決の方策 田中宏幸
――「長文記述力に関する調査」を手がかりに――

〇書くことの実態を踏まえる、つまずきを取り除く 吉川芳則

〇中学校入門期における「描写」を学ぶ指導 甲斐利恵子
――単元「おはよう」から――

〇作文嫌いから一歩前に進めるための実践 深澤公貴
――「書くこと」に取り組む生徒への三つの願い――

〇生徒の「書くこと」に対する思いにどう応えるか 稲﨑由依

〇高等学校における「書くこと」の実際と指導の工夫 立和名猛
――「論理的な文章」を書くために大切なこと――

【連載】

[ことばのことばかり] はんざわかんいち
[校閲記者のこの一語]岡直樹
[漢字を追いかける]笹原宏之
[百人一首を味わう]谷知子・横山明日希