マザーファッカー

シルヴァン リカール(作)、 ギヨーム マルティネス(画)、原 正人(翻訳)

2,200円(税込)

誠文堂新光社

黒人民族主義運動・解放闘争を展開していた急進的な政治組織
ブラックパンサー党の一員であるひとりの男を描いたバンド・デシネ作品。

彼の名はヴァーモント・ワシントン。
アメリカ合衆国初代大統領ジョージ・ワシントンに由来する姓と、独立13州に続いて合衆国に加盟したヴァーモント州に由来する名を持つ男。
それはアメリカの自由を象徴する名前だが、1960年代半ばのこの国で暮らす黒人にとっては皮肉な名前でしかなかった。
ヴァーモントと彼の家族は、日常的に不正義と侮辱にさらされている。
彼が住む町には、いまだ奴隷制と南北戦争の残骸が影を落とし、クー・クラックス・クランの亡霊がうろつく人種差別が横行していた。
ブラックパンサー党の一員であるヴァーモントは、権利と平等を獲得するため、党の「十項目綱領」に則って、戦うことを決意する。
そんな彼を見て、仲のいい白人の友人たちは、面倒なことが起きないように注意したほうがいいと忠告するのだった。
黒人と白人の間の賃金格差やカフェでの差別的対応、絶えざる挑発や侮辱にさらされつつも戦いを続ける彼に、やがて悲劇が訪れる…