凍結療法/三木健太[全6頁]

映像情報メディカル編集部

500円(税込)

産業開発機構株式会社

われわれはこれまで放射線治療後で局所再発が明らかな症例に対し、局所治療として再度の放射線治療である小線源治療を行った。ある一定の効果は見られたが、なかには放射線抵抗性の前立腺がんもあり、十分な治療成績とはいえなかった。そこで、今回、あらたな取り組みとして先進医療を見据えて、このような局所再発に対する救済前立腺凍結治療(クライオセラピー)を行った。これまでに6例の患者の治療を完了した。これらは小さな前立腺がんに対する初期治療としての局所治療ではないが、この経験が今後の怖くない前立腺がんの初期治療としての局所治療へと応用できると考えている。凍結治療は長い歴史があり、古くは1845~1851年ころにイギリスのArnottらにより体表に近い腫瘍に対し氷結塊を使用した記録がある。1960年代になり、前立腺癌にも適応されるようになったが、その初期成績は悪く、合併症も多い内容であった。ようやく1990年代になりOnikらの経会陰アプローチが開始されて以降、技術的にも洗練された。しかしながら、前立腺全体を凍結する方法では勃起障害などの合併症が多いため、徐々に部分的な治療すなわち局所療法に移行してきた。