白人になれない白人たち

アイヴァン・カルマー 著, 加藤恵津子 訳, 神原ゆうこ 訳, 坂田敦志 訳

3,100円(税込)

株式会社彩流社

〈リベラル〉に反旗を翻す白人たち――
何が〈中欧〉の人々を憎悪に走らせているのか?

2014年に「非リベラルな民主主義」を高らかに宣言したハンガリーのオルバーン首相。その理念は米国のトランプやロシアのプーチンとも共鳴し、強権的政治が世界に広がりつつある。中欧は反リベラル現象の震源地なのか? 中欧出身の文化人類学者が、民主主義の危機の背景にある「白人」間の人種差別(レイシズム)を解き明かす衝撃作。

「いろいろなことが中欧ではひどい状態になっているし、西欧のほうがよい状態だということは僕も認める。でも僕が本当に言いたいのは、西欧のほうが「それほど」よいとは言えないということ。そしてもし、中欧のほうがよくないとしたら、それは西欧にも責任の一端があるということだ。」(「まえがき」より)

目次
まえがき あるカナダ系「中欧人」の告白
序章   人種、非自由主義、中欧
第一章  こうして東欧人はあまり白人でなくなった
第二章  こうして中欧人は東欧人になった
第三章  こうして中欧人は何度も中欧人になった
第四章  中欧――「半分だけの真実」と事実
第五章  最後の白人男性――白無垢な中欧
第六章  「東欧人は恥を知らないのか? 」
     ――中欧における反ユダヤ主義、レイシズム、同性愛嫌悪
第七章  拒絶された模倣
     ――西欧はなぜ中欧に東欧のままでいてほしいのか
第八章  「我々は植民地にはならない!」
第九章  スラヴィア・プラハ対グラスゴー・レンジャーズ
     ――あるサッカーの試合を教訓に
終章   移民がやって来るとき
訳者解説――文化人類学者がみた中欧の政治