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「破壊への情熱は創造への情熱である」
(バクーニン)
本書は、戦後、絶対悪として批判対象とされ、今なお、終身刑状態で思想の牢獄に幽閉されたままであるといっていい「ファシズム」について、それが何だったのか、歴史の重層性を踏まえて考察しようとしたものである。著者はこれまでエルンスト・ユンガーを通じてファシズムや現代の問題を追究してきた。そのことやユンガーの名は本書でも随所に登場するが、今回、主にとりあげているのは、日本における純正なファシズムとされる中野正剛と東方会、アジア主義としての内田良平と黒龍会、日本浪曼派と同時代に生きた蓮田善明とその感情的子弟ともいうべき三島由紀夫から、戦後の日本の新左翼、連合赤軍、アナキスト、右翼民族派などであり、極左から極右まで多岐にわたる。いずれも、既存の教科書的な理解や無難な見方とは異なる捉え方をしており、そのため同意される方と反発される方に分かれるかもしれないが、いずれにせよ、よくあるような問題の再確認や通説的納得ではなく、思考を再起動する刺激になればと考えている。久しく待たれた前書に三本の論攷を加え新版として刊行する。
目次
(1)中野正剛と東方会
(2)内田良平と黒龍会
(3)世界革命としての八紘一宇
(4)1968年の戦争と可能性
(5)連合赤軍の倫理とその時代
(6)蓮田善明・三島由紀夫と現在の系譜
(7)21世紀の革命戦争
(8)革命は電撃的に到来する
(9)右も左も革命戦線異状なし
(10)歴史の塹壕の中で