作用素環論入門

戸松 玲治 著

6,380円(税込)

共立出版

C∗環論とvon Neumann環論の基礎を並行して解説し、一冊で作用素環論の基礎事項を修得できるようにまとめた本格的入門書

作用素環論は1929年にvon Neumannにより創始された。作用素環とは、完備な位相をもつℂ代数のことであり、C∗環とvon Neumann環の2種類に大別される。
1960年以降、作用素環の研究はとくに大きく進展し、エルゴード理論、結び目理論、量子群、テンソル圏、非可換幾何学、数理物理、自由確率論、ランダム行列、量子情報など多くの分野と密接に関わりながら現在に至っている。
本書は、初学者が作用素環論の重要事項を効率的かつ自己充足的に学べるように、基礎的な事項を収集・整理し、丁寧に組み上げ直したものである。

[本書の特長]
作用素環論の基礎を一冊で網羅
C∗環論とvon Neumann環論の基礎を並行して解説
C∗環、von Neumann環の具体例を多数紹介
参考文献を見つけにくいと思われる諸結果(有向点列、3線定理、Ryll-Nardzewskiの不動点定理、等)を付録に掲載

[要旨]
Banach環論でGelfandのスペクトル理論を解説し、本論のC∗環論へ入る。C∗環論では、Gelfand–Naimarkの定理、閉イデアル、正値線型汎関数などを導入する。その後、Hilbert空間論の基礎を復習してからvon Neumann環を導入し、C∗環の表現との関係を学ぶ。次にCP写像の基礎を学ぶ。以後は具体例、von Neumann環の基礎(冨田 –竹崎理論も含む)の解説、そして核型C∗環の理論でvon Neumann環とC∗環が互いに切っても切れない関係であることを学んで本書を結ぶ。付録では、よく知られてはいるが、参考文献を探すのに困るかもしれない結果をまとめた。