クァーキーな女たちの伝統

小林富久子 著

2,600円(税込)

株式会社彩流社

家父長的文化のなか、長く周縁に置かれてきた日本の女性作家たちは、

独自の自己表現を求め苦闘し、社会に対しラディカルな問いかけをしてきた。

近年の英語圏での日本の女性作家人気、現在のフェミニズムの状況を踏まえ、

長年、日本女性文学の研究を続けてきた米文学者ならではの「読み」を提供する。

大正〜現代の日本女性作家のほか、在日・韓国文学も取り上げる。

クァーキー(Quirky)とは

「風変わりな」「癖のある」「突飛な」、「予測のつかない」「ねじ曲がった」「つむじ曲が

りの」といった意味。近年、英語圏での日本女性文学評でよく使われている。

目次
“Quirky” な女たちの伝統──序にかえて
第1章  大正期のパイオニア的フェミニスト女性作家たち
      ──田村俊子と宮本百合子
第2章  森三千代の「東南アジア」小説
      ──「国違い」「帰去来」における「民族」および「混血」のテーマ
第3章  反逆の構造──円地文子『女坂』を読む
第4章  「黒さ」と想像力──有吉佐和子『非色』の世界
第5章  「制度としての母性」対「経験としての母性」
      ──アドリエンヌ・リッチの「母性」論から読む
        1960年代末─ 80年代の女性作家たち
第6章  山姥は笑っている──円地文子と津島佑子
第7章  トニ・モリスンと津島佑子
第8章  「狭間」から書く在日コリアン女性作家たち
      ──李良枝『由煕』を中心に
第9章  世界/地球文学としての日本・韓国の女性文学
第10章 「ポストフェミニズム」世代としての「摂食障害小説」作家たち
      ──松本侑子、小川洋子、赤坂真理
第11章 伊藤比呂美における「エコロジカル・フェミニスト」詩人への道筋
      ── 「カノコ殺し」から『河原荒草』まで