ヒトとカラスの知恵比べ (DOJIN選書:98)

塚原 直樹 著

2,090円(税込)

株式会社化学同人

カラス研究20年.
カラスの生態も,カラス被害の現場も知り尽くした
カラス対策のエキスパートが伝授する
“もっとも有効な”カラス対策

カラス被害にお困りのみなさま,
まずはカラスを知ることから始めませんか?
魔法のカラス対策は存在しないかもしれないが,
カラスの行動や生態を理解すれば、対抗手段が見えてくる.
本書では、多種多様なカラス被害の現場を見てきた著者が,
科学的根拠に基づいた現場別の被害対策を伝授.
また,ヒトを襲う,黄色が嫌い,ヒトの視線を避ける,
カカシやCDの効果など,カラスをめぐって囁かれる噂の真相に,
カラス目線で迫る.
身近な野生動物,カラスと共存するための道を求めて.

<目次>
第1章 多種多様なカラス被害〜カラスの気持ちになって考える〜
ゴミを荒らす/農作物を食い荒らす/畜舎に侵入する/電柱に営巣する/ヒトを襲う/動物を襲う/ゴルフボールを持ち去る/太陽光パネルを破壊する・糞を落とす/自動車に糞を落とす・ワイパーを持ち去る/ビル屋上の断熱材やコーキング・重機のシートを突く/うるさく鳴く/電線に集団で止まる
コラム1 カラスの一日

第2章 そのカラス対策は間違っている……かも〜カラスが本能的に嫌がる物なんてない?〜
何でも最初は効果がある! それは「カカシ効果」/CDはカラスの警戒心を煽る?/カラスは紫外線が嫌い?/カラスは黄色が嫌い?/嫌いな臭いでカラスを追い払う?/カラスはカプサイシンが嫌い?/カラスは超音波が嫌い?/カラスは磁石が嫌い?/カラスはタカが嫌い?/カラスはヒトの視線が嫌い?/カラスは死体を恐れる?/カラスは銃が嫌い?
コラム2 カラスの四季

第3章 カラス被害はこう防げ
一  「カカシ効果」をうまく使おう(対策グッズは何でもよい/「汎化」に注意/状況によっては持続しない「カカシ効果」)
二 ゴミ荒らし防止マニュアル(ネットの上手な使い方/荒らされたゴミを放置しない/ゴミ袋の下部を守る/ゴミ収集庫でも要注意/ゴミの中身を見せない/やはりゴミの出し方が肝心)
三 農作物被害を防ぐには(カラスの侵入をどう防ぐ?/農地でのカカシ効果の使い方/地域ぐるみでの対策/廃棄農作物を管理する)
四 畜産現場での被害防止(畜舎への侵入を防ぐ/侵入以外にも気をつけたいポイント/保管してある飼料も要注意)
五 日常起こりうるカラス被害への対処(営巣されたあとの対処/子育て中のカラスの威嚇行動から身を守る/自動車へのイタズラを防ぐ)
六 自治体の担当者向けカラス被害対策マニュアル(被害のみえる化/季節で異なる対処方法/一年を通じて求められる対策/ヒトの意識を変える)
コラム3 カラスの一生〜カラスの寿命は?〜

第4章 カラスの行動をコントロールする研究と対策の最前線
一 カラスの音声コミュニケーション(カラスにはどんな種があるか/カラスはどんな鳴き声を出す?/カラスのコンタクトコール/カラスが警戒する鳴き声/ハシブトガラスのさまざまな鳴き声/種による鳴き声の違い/種を超えたコミュニケーションの可能性)
二 音声コミュニケーションを利用したカラス対策(ゴミ集積所での被害対策製品「CrowController」/CrowControllerの限界/なぜ長期の効果があったのか/CrowLab音声ライセンス「だまくらカラス」/市街地への糞害対策/農作物への食害対策/営巣対策/餌場での対策/さまざまな被害現場でのだまくらカラスの活用事例)
三 カラスをだます最新研究(カラスの危機的状況を再現した「パタパタロボ(仮)」/カラスの群れの誘導/剥製ロボでカラスをだますことはできるか?/ドローンでカラスをだますことはできるか?)
コラム4 カラスのトリビア

第5章 カラスとヒトの共存は可能か?
一 根本的なカラス対策とは?(捕獲は個体数コントロールに有効か?/冬の餌を管理することでの個体数コントロール/無自覚な餌付けストップキャンペーン/実効性のあるキャンペーンにするには?)
二 カラスとヒトの関係の再構築(カラスとヒトの関わり/カラスに対するイメージを変えることで、ヒト側の許容の範囲を広げる)
コラム5 コロナ禍とカラス