リフレクションズ

小沼純一 著

2,200円(税込)

株式会社彩流社

ジャズの、かつて聴いたものについて、書く!
何をどんなふうに、とあらためて想いおこしつつ、それがただそのときだけにとどまらず、「いま」、自分とどうなのか、というのを考えることはレトロスペクティヴなだけではない、聴く=思考する何かになる。もっとも、ひとつの口実にすぎない、ともおもう。聴きなおせば、新しい発見がある。はじめて、あるいは何度も聴いていた時期の感覚をおもいだしもする。それを現在と重ねあわせて、というのも、当然、ありながら、そのうえで、いま、それを書く必要があるのか、とも。本人にとってはいろいろな意味がある。聴きなおし、再考し、言葉にする意味。だが、それを、たとえ興味があるひとだけが読むにしろ、とりあえず公になる場で書くのはどういうことなのか。そのうえで、ひらきなおりたい気もある。聴いて、聴きなおして、書いて、こそのものだ、と。扱われるのは、1970年代、十代のとき聴いていたアルバムが中心だ。そのあとのものもわずかにはいっているが、十代のときへの追補として。指南してくれるものもなく、というよりは、そうしたものは無視して、勝手に、勘で、聴いてみる。クラシックや現代音楽やロックも並行しているなかで聴くと、ジャズ中心のリスナーとは異なった軌跡になるのかもしれない。アルバムごとに何かを記したあとには、じぶんの住んでいた東京のジャズ環境、とでもいったものをすこしまとめてみることにした。なんとなく目に、耳にはいってくる、この列島のジャズ・ミュージシャンが、アルバムを中心に記していることを、べつのところから補ったらいい、というおもいから。