化学における情報・AIの活用

日本化学会 編

4,620円(税込)

株式会社化学同人

これまで化学は,解析と合成を両輪とし理論・実験を行き来しつつ発展し,さまざまな物質を提供してきた.しかし近年,解析と合成に加えて情報という三つの視点で駆動する手法が注目を集め,化学を大きく変えようとしている.この新しい手法の革新性は,化学の研究力,化学産業の生産力に大きな変革をもたらすものと期待される.解析・合成の両輪の融合,化学とプロセスとの連動に向けた最新の研究事例を,広い分野のAI利用化学研究者が紹介.

<目次>
第Ⅰ部 基礎概念と研究現場
1章 フロントランナーに聞く(座談会)
奥野 恭史(京都大学大学院医学研究科),出村 雅彦(物質・材料研究機構)
船津 公人(奈良先端科学技術大学院大学),松原 誠二郎(京都大学大学院工学研究科)聞き手:栗原 和枝(東北大学)
2章
(1)History:データ駆動型化学の歴史 船津 公人(奈良先端科学技術大学院大学)
(2)Basic concept:データ駆動型化学を牽引する新しいコンセプ 吉田 亮(情報・システム研究機構)
3章
(1)創薬のための構造化DB 上村 みどり(帝人ファーマ株式会社)
(2)有機合成と情報 大嶋 孝志(九州大学大学院薬学研究院)
(3)精密構造解析と情報科学/データの構造化 杉本 邦久(近畿大学理工学部)
(4)マテリアルズインテグレーションシステム,Mint 出村 雅彦(物質・材料研究機構)
(5)化学・材料分野におけるデータ活用プラットフォーム 小椋 智(大阪大学大学院工学研究科)

第Ⅱ部 研究最前線
1章 研究室におけるAI自動有機合成とクラスターDB構想 松原 誠二郎(京都大学大学院工学研究科)
2章 無機機能薄膜合成 一杉 太郎(東京大学/東京工業大学)
3章 大規模系の記述子(ペトロリオミクス 田中 隆三(出光興産株式会社/石油エネルギー技術センター)
4章 データ活用型化学研究の基盤としての手法開発 瀧川 一学(京都大学国際高等教育院)
5章 シミュレーションへの応用(MD GAN)泰岡 顕治(慶應義塾大学理工学部)
6章 AIビックデータと創薬 奥野 恭史(京都大学大学院医学研究科)
7章 機械学習と自動合成装置による医薬品探索 石原 司(産業技術総合研究所)
8章 生体・超分子の構造解析とAI 中川 敦史(大阪大学蛋白質研究所)
9章 人工知能(AI)を用いる機能性有機分子の設計 緒明 佑哉(慶應義塾大学理工学部)
10章 AI支援の有機太陽電池 佐伯 昭紀(大阪大学大学院工学研究科)
11章 ハイスループット電池電解液探索システム 松田 翔一(物質・材料研究機構)
12章 ペプチドのスクリーニング 澤田 敏樹(東京工業大学物質理工学院)
13章 AIによる新有機合成化学 佐藤 一彦(産業技術総合研究所)
14章 生産とAI化学プラントのAI IoTによる安全操業と人材育成 山下 善之(東京農工大学大学院工学研究院)
15章 物理モデル構築によるAIプラント異常制御 長谷部 伸治(京都大学国際高等教育院)
トピックス① 有機合成:逆合成解析,機械学習(アメリカのIBMの活動) 岸本 章宏(IBM東京基礎研究所)
トピックス② マテリアルインフォーマティクスの利用 庄司 哲也(トヨタ自動車株式会社)
トピックス③ ルールベース重合反応モデルによる高分子仮想ライブラリの構築と評価 大野 充(株式会社ダイセル)
トピックス④ 錬金術師は人工知能で極みのその先を目指す 柳原 直人(富士フイルム株式会社)
トピックス⑤ 旭化成の研究開発におけるDXの取り組み-マテリアルズ・インフォマティクスの活用- 青木 拓実(旭化成株式会社)

第Ⅲ部 役立つ情報・データ
① この分野を発展させた革新論文
② 覚えておきたい関連最重要用語
③ 関連有用情報
索引