バイオサイコソーシャルアプローチ

渡辺俊之・小森康永 著

3,762円(税込)

株式会社金剛出版

「バイオサイコソーシャル(BPS)モデル/生物・心理・社会モデル」。中核的な医療モデルとして今やあらゆる医療関係者が口にし,その重要性は疑うべくもない。……しかし,それは本当のところどういうことなのか?

本書は,還元主義的生物医学モデルへの批判のなかで新たなパラダイムとして誕生したBPSモデルについて,その根幹であるシステム理論と,創始者ジョージ・エンゲルの記念碑的な仕事を概観し,また近年の批判に応えながら,臨床要素の列挙やヒューマニズムのすすめにとどまらないその多元的な姿を描き出す。

エンゲル直系の実践である「メディカル・ファミリーセラピー」,エビデンス・ベイスド・メディシン(EBM)と輻輳しながら進行する「メディカル・ナラティヴ・プラクティス」,そして多様な領域へのBPSの応用は,「全人的に患者を観察し介入せよ」というお題目を超えて,BPSモデルの射程と広がりをこれからの臨床のためにアップデートする一つの試みである。