健康・スポーツ科学のための動作と体力の測定法

長澤吉則 編著

4,400円(税込)

杏林書院

これまで科学的研究では、客観的に現象の特性を測る方法と推論する方法を洗練させ、現象の背後にある法則性の検証を試みてきました。これには現象の特性を適切に測定することにより正確なデータを得ることが最も重要です。何らかのデータがなければ現象の記述、または現象の背後にある法則性や因果関係の推測に関する分析はできないし、そのデータが適切なデータでなければ誤った結論を導くことになります。
近年、科学技術の進歩により様々な現象の特性をより詳細にかつ高精度で定量化できるようになりましたが、最新の高価な測定機器により得られたデータが必ずしも適切なデータとは限りません。いくら精度の高いものさしを開発しても、そのものさしをどのように利用し、関心のある特性を適切に捉えられるかを理解していなければ、適切なデータを得ることはできません。
本書では健康・スポーツ科学領域で数多く行われてきた体力測定について、適切なデータを得るための測定方法と評価方法、評価にもとづく測定値のフィードバックのコツを丁寧に解説しています。測定の紹介・説明のみならず、測定研究にかかわる考え方や活用法、具体的なスキルについても幅広く扱っています。特にこれまでの主流であった身体的パフォーマンスを手掛かりとした能力測定に加え、体力観の変遷に伴い重要度が高まった動作の測定(実測、観測、調査)についても整理しました。またアンケート調査などを用いた主観または観察による測定方法についても概説しています。