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「スポーツ産業論入門」として1995年に初版が発刊された本書は、第4版から「スポーツ産業論」に名称を変更し、その後も版を重ね今回の第7版を出版するに至りました。前回の改訂から6年が経過し、その間、国内外でスポーツ産業を取り巻く状況は大きく変化しました。その中でも、2015年に設置されたスポーツ庁は、従来の学校体育、運動部活動、競技力の向上に加え、新たにスポーツ施設の整備・運営、スポーツによる地域・経済の活性化、スポーツ界の透明性と公平・公正性の向上といった分野に政策領域を拡大しました。スポーツテックやスポーツビジネス、そしてスポーツツーリズムやガバナンスといった言葉が一般化したのも、スポーツ庁が残した大きな功績です。
初版の発刊当時から、スポーツ産業の基本的な構造に大きな変化はないものの、テクノロジーの進化によって、スポーツ用品の流通チャネルが対面からネット販売へシフトし、紙のチケットがオンラインチケットへと変化するなど、時代とともに新しい動きも出現しています。またスポーツによる地域の活性化にも関心が集まり、アウトドアスポーツツーリズムや武道ツーリズムの振興を目的に官民連携協議会が設置されるなど、スポーツ産業の守備範囲は確実に広がっています。
第7版では、新たにⅢ部として「スポーツイベントと地域スポーツ」を設け、その中に、「スポーツイベントの社会・経済的インパクト」「スポーツイベントとスポンサーシップ」「地域スポーツのマネジメント」「スポーツツーリズムの発展」「地域スポーツコミッションの役割」という章立てにしました。さらにこの文脈に沿って、Ⅳ部の中にも「地域密着型プロスポーツの未来」という章を設けました。最後のⅤ部では、スポーツ産業の将来を担う章として、「進化する大学スポーツ」「スポーツ産業の人材マーケット」「eSportsの市場拡大」「パラスポーツの発展に向けた課題」の4つの章を新たに設けました。
このように、世界的規模でのスポーツビジネス・マネジメントの専門家の養成が叫ばれる中、変化の大きいスポーツ産業の動向を探り、体系化された最新の専門的知識を読者に提供することを念頭に編集しています。