Q&Aですらすらわかるホメオスタシスのしくみ

志内哲也 著

2,640円(税込)

杏林書院

「ホメオスタシス」という言葉は聞いたことがあるけど、そのしくみを理解しているかと言われると、自信をもって理解していると答えられる人は少ないのではないでしょうか。
本書は、人の健康とは切っても切れない関係である、「ホメオスタシス」を初学者にもわかりやすく解説しています。別な言い方をすれば、「健康とはホメオスタシスをうまく維持できている状態」と言えます。ホメオスタシスは生体恒常性とも呼ばれ、その名のとおり、からだを常に同じ状態に保つ機能です。
ホメオスタシスを維持するメカニズムは多岐にわたっています。ホメオスタシスを考えるにあたっては、必ず脳を含めた「個体」を俯瞰する必要があります。臓器や組織はお互いに、実に密接な連絡を取り合いながら生存に有利な状態を保ち続け、結果として個体の維持につなげています。
本書では、ホメオスタシスを維持するしくみについて、できるだけ平易な言葉で解説しています。遺伝子や分子の名前も極力入れないようにしてあります。また、興味のあるテーマなど、どこからでも読めるようにQ&A方式で構成し、最初にAnswerとして、ズバリ回答しています。また、随所にCoffee Breakを設け、関連したちょっと面白い話も掲載しました。
第1部にあたるQuestion1〜12は、教科書レベルの基礎的な内容で、実例を挙げながら解説してあるので、初学者はここから読み始めるとホメオスタシスの理解が進むと思います。また、生命活動は代謝で成り立っているため、第2部にあたるQuestion13〜21では代謝とホメオスタシスについて書いてあります。ここでは細胞内代謝だけでなく、よりマクロな視点として栄養学的な代謝も含めています。一方、日常生活で大きくホメオスタシスを動かす刺激として、運動と栄養摂取があります。第3部(Question22〜30)と第4部(Question31〜35)では、それぞれ運動と栄養の視点からホメオスタシスをみたトピックを選んでみました。第5部(Question36〜40)では、精神・心理的なストレスによるホメオスタシスへの影響について、運動や栄養、発達も絡めながら紹介しています。それぞれのトピックで基本的な部分から専門的な研究内容まで紹介しているので、大学生にとっての教養書としても、卒論や大学院生の研究テーマを選ぶ際の入門書として、役立ててもらえればと思います。
本書を通じて、私たち人間のからだの中で、臓器間ネットワークを駆使して、様々な調整を行いながら健康を維持している、その不思議さや面白さを味わっていただきたいと思います。そして、健康を維持するために、一人ひとりの具体的な行動につながれば幸いです。