パレスチナ 「戦傷外科」の日々

指山浩志 著

1,600円(税込)

株式会社彩流社

日本の外科医である著者が、日本パレスチナ医療協会の医療ボランティアとしてパレスチナに滞在し、医療活動を通じて見聞きした紛争地における医療現場の真実。実際に手術などの医療活動に携わった医師にしか伝えられない紛争地の医療活動の理想と現実。

【目次】
はじめに 命は平等になっていない
行くまでは「他人事」だった/「テロ」対「戦争」/状況は悪化している

第一章 再びのパレスチナ、「戦傷外科」へ
「お前はどこででも死ぬことができるよ」/まさに紛争地に突入したのだ/紛争医療の現場、シーファ病院へ/パレスチナ流の「消毒」/ここは貧しい国には入らない。しかし平和ではない/パレスチナ人の命の重さはイスラエル人の三分の一?/PLOは信頼を失っている/アラブ人考/最後の一人になっても戦う!/ストリート・チルドレンがいない理由

第二章 紛争激化、ERも激務
一晩中続く爆撃/GP(一般医)も水準は高い/「このありさまを伝えてくれ」/シーファ病院の長く大変な一日/ラマダンとフィース/ガザ地区に配置された救急ステーション/救急士ももちろん命がけ/医師の資格/パレスチナ人は日本人をどう思っているか/アラファトの評判は地に落ちていた/再びエルサレムへ/自分の宗教にはみな詳しい/聖地だらけの地域/ベツレヘム/タクシードライバーとの闘い/パレスチナテレビに出演!?/またまた長いシーファ病院の一日/援助を私物化するPLO幹部/パレスチナ内部の対立/難民キャンプ その1/アル・アマル病院/難民キャンプ その2/アラブ時間/それぞれの医療スタンダード/医師の生活/医師はたいてい英語ができる/パレスチナ医療保険事情/材料持参で専門家を送るというやり方/またまた長いシーファ病院の当直その3/連続当直/呼び名は「ヒロシマ」「ハシモト」「トーシバ」

第三章 ほんとうに有効な援助とは何か
パレスチナの新年/ある器材で工夫する/見せられないほどのむごさ/バーベキュー大会(酒はなし)/膨大な手術件数/難民キャンプとリゾートマンション/重婚は経済的責任が条件/喘息で入院していたのにタバコを吸う/気勢を上げるハマス/今日も激しいシーファ病院の当直/外科医のスペシャリティ/武器密輸船問題/ハッタ(頭に巻く布)の色/有効な援助とは?/いざとなれば素早い手術/PRCSジャバリヤクリニック/イスラエルによる民家破壊

第四章 300万人の人々が、自由を奪われている
シーファ病院最終当直/ハルワジールクリニック最終日/シーファ病院最終日/そしてテルアビブへ/アムステルダム アンネ・フランクの家

あとがき その後のパレスチナ