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暗闇が消えると何が失われるのか?
生物学者が詩的に綴る、感動の科学エッセイ。
2022年度 英ウォーターストーンズ ポピュラーサイエンス部門
ベスト・ブック獲得
スウェーデンから、アメリカ、ドイツほか各国で続々翻訳
闇がなければ光はなかった 闇は光の母 ――谷川俊太郎
いま、街灯の照明をはじめとする人工の光が、多くの夜の自然の光を奪っている。その結果、古来から続く生物の概日リズム(体内時計)を乱し、真夜中に鳥を歌わせ、卵から孵化したウミガメを間違った方向へ誘導し、月明かりの下の岩礁でおこなわれるサンゴの交配の儀式すら阻害している。
本書は、人工の光による自然への影響(=光害:ひかりがい) をひもとき、失われた闇を取り戻そうとする呼びかけである。
(目次)
はじめに 消えていく夜
第1部 光害
暗闇のサイクル/暗闇での体験/光に照らされた惑星/掃除機効果/失われた交尾の本能/大量死
第2部 夜──その重要な生態系地位
暗闇の視覚/目/夜の感覚/たそがれ時の動物たち/不自然な光の中で歌う/自然のランタン/光の春/星のコンパス/めまいのする都市/偽物の夏/実りのない夜/海の花火/海が待つ場所/月明かりのなかのロマンス/青ざめたサンゴ/トワイライト・ゾーンにて/流転する生態系/夜の公益的機能
第3部 人類と宇宙の光
3つの薄明/ダークマター/夜空の測定/聖ラウレンチオの涙/月は1つだけ?/青の瞬間/黄褐色の空/産業の光/時計が止まるとき/病気をもたらす過剰な光
第4部 陰翳礼賛
魂を慰める時間/陰翳礼讃/LEDの光/暗闇のツーリズム/王家が残した暗闇/暗闇の静かな会話/逆境にある時間