古墳が語る古代史の「虚」

相原精次 著

2,200円(税込)

株式会社彩流社

全国に散在している多くの古墳の詳しい発掘調査が行われないのはなぜか。「古墳といえば前方後円墳= 大和」というイメージの強さが、何かを見落とさせているのでは?「古墳時代」という言葉で隠された墳墓研究の史的実態に迫る。

【目次】
はじめに
第一章 見えてこない「古墳時代」のイメージ
 Ⅰ 古墳時代とはどんな時代か
 Ⅱ 明治期の古代史研究
    ──研究が抑制されていた「日本の古代」
 Ⅲ 近代の「日本古墳研究」はw・ゴーランドに始まった
  ・示唆に富むゴーランドの古墳論 ほか
 Ⅳ 見えてこない「古墳時代」
  ・古墳の発生は「大和」でいいのか ・北海道に古墳はない?
 Ⅴ 「ミネルバ論争」と「ひだびと論争」
 Ⅵ 古墳時代のさきがけ「支石墓」と「積石塚」のこと
第二章 日本歴史のなかの「古墳」
 Ⅰ 古文献に見る「古墳」
 Ⅱ 明治維新以前の「古墳」研究
 Ⅲ 「国史」と「古墳」
  ・新政府のめざした国家観 ・明治╱大正╱戦時下の古墳研究
 Ⅳ 戦後の「古墳」研究
  ・文化財保護法と「風土記の丘」構想
  ・高度経済成長期のなかでの「古墳」 ほか
第三章 古墳からの声を聞こう
 Ⅰ 古代史における「国」概念の揺れ
  ・五世紀以前の「倭」 ・七・八世紀の「倭」
  ・「倭の五王」への疑念 ほか
 Ⅱ 「国」概念と「大王」「王」の問題
 Ⅲ 日本「古代史像」の「虚」  
  ・「古墳」をとおして見えてくるもの
  ・日本古代史は砂上の楼閣
第四章 ユーラシア大陸と「墳丘墓」
 Ⅰ 〔戦前〕・世界史的視野での墳丘墓研究
 Ⅱ 〔戦後〕・「日本文化とユーラシア」、新たな視点