東宝時代劇映画桜花爛漫

小林淳 著

3,000円(税込)

株式会社彩流社

戦後の日本映画、東宝映画の一時代を築き上げた東宝時代劇映画の魅力を探る!

日本演劇はおおむね時代劇と現代劇という枠組みで分割されてきた。平安時代から明治維新前後にわたる長期間における様々な出来事を題材とする演劇を時代劇と称するが、その演劇表現のひとつでもある映画にも、それはそのままあてはまる。最も日本映画らしいジャンルである時代劇は戦後、東宝映画においても大きな柱となった。稲垣浩、黒澤明、岡本喜八、滝沢英輔、千葉泰樹、堀川弘通などの監督たちが、剣戟を見せ場に設定する東宝時代劇映画の歴史を作ってきた。そうした監督たちが活動を展開するなかで特に親しまれたスターが、三船敏郎、鶴田浩二、長谷川一夫、池部良、藤田進、松本幸四郎、市川染五郎、仲代達矢、加山雄三たちだ。本書では、監督たちが東宝をステージにして戦後から1970年代初期まで日本映画が最も隆盛をきわめた時代に放ってきた東宝時代劇映画の歩みを追う。戦後日本映画の一側面、その流れを一種の通史風に記して、映画愛好家、時代劇ファン、広く映画、日本文化ファンに届けたい。

目次
序章・時代劇映画の発祥――戦前・戦中の歩み
第1章・戦後東宝時代劇映画の息吹
第2章・東宝時代劇映画の隆盛時代――スター映画の光彩と佇立
第3章・稲垣時代劇映画黄金期
第4章・バラエティ豊かな東宝時代劇映画群
第5章・黒澤時代劇映画の登場
第6章・東宝時代劇の展開と用心棒登場
第7章・稲垣浩の玉座
第8章・岡本喜八の躍進とスター・プロダクション大作の栄華――新たな局面へ向かって
第9章・黒澤明と稲垣浩、小林正樹の活躍
第10章・七〇年代という新時代に向かって
第11章・東宝時代劇映画のひとつの時代の幕