「濃・飛」秘史 文覚上人と大威徳寺

相原精次 著

1,700円(税込)

株式会社彩流社

文覚上人と大威徳寺──。岐阜県加子母地区に伝わる史実とその意味に光を当てる。歴史学の忘れ物とも言うべき、鎌倉前史の再考。下呂市による大威徳寺発掘調査によって明らかになった、その歴史的重要性を、鎌倉幕府創建を陰で支えた文覚上人との関わりから探る。

目次
序章 歴史学の忘れ物「鎌倉幕府成立前史」

第一章 大威徳寺跡発掘が明かすもの
  ――中世・鎌倉時代への移行をうかがう重要遺跡の発掘――
「濃・飛」国境の山岳寺院・鳳慈尾山大威徳寺跡
1 大威徳寺伽藍の持つ意味
2 大威徳明王のこと

第二章 文覚上人と大威徳寺――文覚上人とはどんな人物か――
1 文覚上人の実像
2 説話・伝承をも加味した文覚上人像
3 「加子母」の文覚上人伝承
4 近代歴史学の中での「文覚」
5 山岳寺院大威徳寺
コラム1 謡曲『善知鳥』のあらすじ

第三章 「濃・飛」の秘められた歴史
  ――「濃・飛」地区に残る古代からのメッセージ――
1 飛騨一ノ宮「水無神社」と「両面宿儺」のこと
2 「濃・飛」の謎に満ちた古代遺跡のこと
3 「濃・飛」地区の古墳時代
4 中部地区と継体天皇の伝承
5 壬申の乱の展開
コラム2 神奈川県・千葉県に残る大友皇子の伝承

第四章 大威徳寺の地理的状況・中世への移行期
  ・中心拠点としての大威徳寺
1 中山道、北陸道と中部山岳地帯
2 「関東・鎌倉」から「畿内」を見る西端の要害
3 鎌倉幕府「草創」「経営」のために開基された寺々
4 「濃・飛」に残る伝承
5 美濃の国「和蹔」
6 大威徳寺の創建はいつか

終章 鎌倉幕府成立へのプロセス
  ――旗挙げの意図は当初から「みちのく」にあった――
1 古代史上に見る金属への関心
コラム3 実方中将と笠島道祖神
2 頼朝は旗挙げに何をめざしたか
3 頼朝と義経 単なる兄弟喧嘩か
4 「みちのく」と義経
5 義経・頼朝 確執の真相
6 頼朝旗挙げの目的
7 兄弟相剋の意味
8 「みちのく」の意味するもの
9 「みちのく」と文覚上人
10 最明寺入道時頼伝承の意味するもの

おわりに
参考文献