ビザンツ、オスマン、そしてトルコへ

野中 恵子 著

2,200円(税込)

株式会社彩流社

EU加盟やクルド問題、ギリシャとの確執など、トルコが抱える諸問題はなぜ生まれ、どうなっていくのか。重層する歴史の縦軸を自在にたどって解き明かし、その行く末に思いを馳せる。トルコ知識人らのインタビュー13篇も収録。

【目次】
まえがき
目次
第一部 トルコの今──変わりゆく思考
第一章 「第三のキリスト教」への接近──共生への回帰の使者
 ◆イスラム社会の中の古代教会
 東方の歴史の生き証人
 シリア・オーソドックス
 あるビザンツ皇妃への思慕
 中世都市マルディン
第二章 現代のコンスタンティノープル──過去とつながる現在
 ◆イデオロギーはビザンツ「破壊」にあらず、「名前」にあり
 ローマとイスタンブール
 運命共同体の「ビザンツ」と「オスマン」
 「パンとサーカス」終焉の記憶
第三章 我々は何者なのか──揺らぐ「中央アジアの祖先」伝説
 ◆アナトリア イスラムの坩堝と民族融合
 アナトリアは呼ぶ
 共有と変幻のメカニズムは
 「我々は誰なのだ」

第二部 トルコから消えたギリシャ人──歴史が変えられた日々
第四章 トルコとギリシャ 骨肉の相克
 ◆我々は皆「オスマン人」だった
 異邦人の存在
 創られた「アジア人」と「ヨーロッパ人」
 信仰の灯火は
 痛恨のエーゲ海
第五章 破綻した同胞愛
 ◆歴史の傷、リアリティとしての同胞愛
 新月星、十字架、ダビデの星のテッサロニキ
 アテネとアンカラ
 オスマン帝国崩壊
第六章 永遠の祖国トルコ
 ◆ともに生きる「東方」の二つの「市民」
 二人のオスマン生まれの指導者
 苦悩の時代
 「異教徒」と「トルコ人の種」

第三部 「ビザンツ」と「オスマン」が残した課題──様々な「他者」たち
第七章 クルド人
 ◆憲法に「平等で自由なすべての国民」の定義を
 第三の城塞都市 ディヤルバクル
 分かち合う故郷
 皇帝の「クルディスタン」
第八章 アルメニア人
 ◆フラント・ディンク亡きあとのトルコ社会を見つめて
 「ジェノサイド」論争
 パムクとディンク ディアスポラと二つの「兄弟国」
 追憶のヴァン
第九章 アレヴィー派
 ◆真の世俗主義は我々の「独自信仰」認知から
 もう一つの「オーソドックス」への抵抗
 起源の謎が起こす対立
 コンスタンティノープル陥落の「立役者」?

第四部 未来への模索──モザイク国家の真の価値
第一〇章 キリスト教とトルコ共和国 解放の時と永遠の絆
 ◆総主教座の守護はトルコの使命である
 ◆我々は祖国トルコのEU加盟を支持する
 首相の発言
 ポスト冷戦時代の「救世主」たち
 世界のためのトルコの島へ
第一一章 一〇〇年目、「トルコ人」としての「幸せ」は
 ◆真のアタテュルク主義への回帰を
 ◆「TURKISH」を改めて理解する
 新たなるビザンツ、オスマン、トルコの理解へ
 アタテュルクという「人間」
関連年表
主要参考文献
奥付