折紙工学入門ー折紙−幾何学−ものづくりの架け橋

野島武敏 著

3,300円(税込)

株式会社化学同人

平安時代から親しまれてきた折紙。その折紙の特性を生かし工学的に応用するために「折紙工学」が提唱されている。ソーラーセイルやハニカムコアなど、コンパクトに収納でき、強靭で軽量な構造物への応用が期待され、近年では世界的にも注目を集めている。本書では、折紙工学の提唱者自らが、その基本的な考え方はもちろん、新たな折紙模型創出のヒントまで含めてくわしく解説。折紙と幾何学とものづくりをつなぎ、無限の可能性を秘める折紙工学の精髄を語る。

第1章 折紙工学とは
1.1折紙工学の考え
1.2 折紙手法、幾何学の基礎(折紙手法/初等幾何学と設計に必要な数学の基礎知識)
1.3数理化とものづくり(数理化、定式(公式)化/ものづくり)

第2章 初等幾何学の基礎
2.1幾何学の基礎(平面充填形(タイル貼り) /正多面体と半正多面体/正多面体から半正多面を作る手順)
2.2 半正多面体の展開図(正充填形(正6角形、正方形)を用いた5種の半正多面体の展開図/アルキメデスの充填形を基にした8種類の半正多面体の展開図/平面充填形を用いて半正多面体を作った結果のまとめ)
2.3正反角柱の展開図
2.4正多面体と半正多面体間の相互の関連とそれらの折紙模型(正多面体の双対関係/双対折紙による正多面体の折紙模型の製作)
2.5 内心連結折紙による半正多面体の模型製作(立方体の展開図ベース/正8面体の展開図ベース/正12面体の展開図ベース/正20面体の展開図ベース/立方体と正12面体の展開図をベースにして作る変形立方体と変形12面体の展開図)
2.6 半正多面体とその双対体(カタランの立体)の折紙模型の相互変換(切頂8面体(No.3)⇔4方6面体の相互変換/立方8面体(No.6)⇔菱形12面体の相互変換/20・12面体⇔菱形30面体の相互変換/切頂20面体(No.5)⇔5方12面体の相互変換/斜方20・12面体(No.9)⇔凧形60面体/変形12面体(No.13)⇔5角60面体の相互変換/製作されるカタランの立体模型の形状誤差の評価)
2.7 折り線が追加付与された展開図による模型製作—双対折紙の拡張を含めて(菱形12角形と菱形30面体/正多面体の変形加工の例/星型多面体)
2.8多面体による空間充填とそれらの折紙模型(単独の多面体による空間充填/2種類の正多面体の組み合わせで出来る空間充填)
コラム 星型正多面体の構成と内部構造
コラム 星型正多面体

第3章 螺旋構造と折り畳みの基礎事項
3.1螺旋(アルキメデスの螺旋とその描き方/等角螺旋とその描き方/円筒状の3次元の螺旋/円錐状の3次元の等角螺旋)
3.2螺旋模様折り線を持つ円筒と円錐殻; 最強の構造と最弱の構造
3.3 折紙の基本事項(折り線、折り目/節点で折り畳むための条件/等角螺旋の組み合わせで描かれた展開図の節点での折り畳み条件/頂点の構成と折り畳み(平坦折り)条件の考察)
コラム 自己相似とノーモン 

第4章折り畳みの出来る模型と形が可変な立体模型 
4.1 円筒、円錐の折り畳みモデル(塑性圧縮座屈試験/紙の捩じり座屈試験/2種の座屈の展開図の関連;折り畳みの出来る円筒の展開図の作成/螺旋型の折り畳み円筒/折り畳みの出来る円錐)
コラム 折り畳みの出来るペットボトルの試作・開発
4.2 3重螺旋を用いて螺旋型折紙の変遷を見る
4.3 長方形断面の筒の捩じり折りを用いた2重螺旋を摸擬した模型
4.4 円錐形状の2重、3重螺旋の模型
4.5 円錐/角錐体等の組み合わせによる折り畳みの出来る模型
4.6造形美と機能に優れた製品製作への応用 (34)
4.7 円形の平面膜の巻き取り収納モデル(アルキメデスの螺旋の修正型を用いた円形膜の巻き取り収納モデル/等角螺旋状折り線による円形膜の折り畳み収納モデルの一般化/中央にハブを設けて巻き取る模型の製作(膜の厚さの考慮)/服飾品のデザインへの応用)
4.8形が可変な立体のデザイン(19,37)
コラム ひまわりの小花の螺旋状配列と折り畳み模型

第5章 2枚貼り折紙
5.1対称2枚貼り合わせ折紙(2枚貼り折紙)の基本模型
5.2環状筒の折り畳み模型
5.3 角錐や角錐形の袖や胴からなるT字分枝形の洋服模型(16)
5.4幾何学模型の製作(捩じれ多面体/立方体型の捩じれ多面体の折紙模模型の製作/新しい2枚貼り折紙による枝部の長いモジュールの模型/‘空の多面体’の折り畳み)

第6章 コアパネルと3次元のハニカムコア
6.1正4面体(2個)と正8面体からなる平行6面体による空間充填形を用いたコアパネル(コアパネルのモデル化と模型製作/コアパネルの試作/コアパネルの利便性
コラム 金属結晶の構造と空間充填
6.2 3次元ハニカム(基本の厚さ一定(等厚)のコア/テーパのある(上面が下面に対して傾斜する)コア/両側にテーパのあるコア/湾曲した断面のコア)
6.3 折り畳みのできる仕分け箱の設計(仕切り箱(底なし)の基本形/テーパ箱(底なし)/底部分の付与と底のある箱の折り畳み/仕切り数の多い箱 3段型の箱/上蓋付きの箱(底あり)/上蓋付きの箱(底あり)の簡便な製作法)

第7章 折紙の工学化の課題と夢 
7.1ものづくりの課題(簡便加工法の開発/マイクロ折紙)
7.2折紙手法の学術的な課題
7.3教育への応用の課題(教育資材の開発/幾何学的な知見に基づく多目的に使える加工素材の開発)
7.4新しい素材と機能を用いた折紙

付録1 コルゲート模型の製作法
付録2 黄金比、黄金角とフィボナッチ数(黄金比と鈍角および鋭角の黄金の2等辺3角形/黄金分割と黄金角/フィボナチ数)
付録3 等角螺旋状折り線による円形膜の折り畳み収納モデルの一般化
付録4 4.1 折り紙模型の製作(DNA型2重螺旋模型の制作/コラーゲン型の3重螺旋模型/円形膜の巻き取り模型(膜厚を考慮した修正型) /全面凹の12面体とこれを用いた芯部が可視化された大20面体模型の製作)
付録5 捩じり試験(円錐殻のねじり座屈の実験と折り畳みの出来る円錐の設計/円錐殻のねじり座屈の実験と折り畳みの出来る円錐の設計)