ドイツ演劇パースペクティヴ

寺尾 格 著

3,000円(税込)

株式会社彩流社

《ポストドラマ》のドラマトゥルギー

「現代」とは、近代との区別における「いま・ここ」の視点の強調である。
1945年、1968年、1989年の区切りを経て、ニューヨークで起きた9.11に3.11の東日本大震災。収束をみないコロナパンデミック。
相互に関連する「ポスト(~以後)」を第二次世界大戦からフクシマを視野に、ドイツ語圏の現代演劇が日本において持つ「意味」を考える。

目次
第1章 アウシュヴィッツ、ヒロシマ、そしてフクシマ以後

第2章 鼎談『ベルリン・アレクサンダー広場』
ファスビンダーとニュー・ジャーマンシネマ

第3章 ファスビンダーのメロドラマと市民悲劇
『ぺトラ・フォン・カントの苦い涙』と『ブレーメンの自由』

第4章 ウィーン/ベルリン二都物語
一九九〇年代のドイツ演劇

第5章 ベルリンの『三姉妹』
あるいはシュタイン、マルターラー、タールハイマー

第6章 上演とテクスト
ゲーテ『ファウスト』のニコラス・シュテーマン演出

第7章 フィリップ・レーレの反グローバル資本主義カリカチュア

第8章 イェリネクとネストロイ
あるいはふたつの『アーベントヴィント』

第9章 罵倒のかなた
トーマス・ベルンハルト『伐採』とクリスチアン・ルパの演出

第10章 直島・豊島の現代美術とパフォーマンス空間

(補論1)書物のパフォーマンス性
書評:『多和田葉子/ハイナー・ミュラー 演劇表象の現場』
(補論2)『こわれがめ』の喜劇性
ドラマ構造と言語機能について