『男はつらいよ』、もう一つのルーツ: ポピュリズム映画考

吉村 英夫 著

2,860円(税込)

大月書店

マルセイユから葛飾柴又へ。知られざる影響

『男はつらいよ』の原型が、フランスのマルセル・パニョル作品にあったことは、
山田監督自身が語っているが、あまり知られていない。
「ポピュリスム」と呼ばれるその系譜に山田を位置づけつつ、
日本映画史をたどりなおす。

「吉村さんの著作を通して僕は
自分と自分の作品を客観的に見ることを学んだ。
このような優れた映画学者
(あえてそう呼ばせていただく)に
温かく見守られたことの幸福を、
この本を読みながらしみじみ思う。」
――山田洋次

【目次】
第I部 ポピュリズムについて

第1章 ポピュリズムとポピュリスム
第2章 フランク・キャプラのポピュリスト・コメディ

第II部 家城巳代治小論――その戦争責任論ともかかわって

第3章 家城巳代治素描
第4章 『姉妹』を中心に
第5章 家城の戦争責任論

第III部 山田洋次――『男はつらいよ』のルーツはフランス戯曲

第6章 山田洋次映画は大衆迎合か
第7章 パニョル『ファニー』をめぐって
第8章 『愛の讃歌』から『音楽劇 マリウス』へ
第9章 企業内で映画をつくるということ

第IV部 小津安二郎におけるポピュリズム

第10章 戦前小市民映画と『東京物語』
第11章 小津安二郞・黒澤明から山田洋次へ
付論 『東京物語』と競輪、そしてアルコール――『全日記 小津安二郎』に見る