相対論入門 ―時空の対称性の視点から―

須藤 彰三 監修, 岡 真 監修, 中村 純 著

2,200円(税込)

共立出版

 本書は、大学生が特殊相対論、一般相対論の基礎をしっかりと身に付けるための本である。
 読者が基礎的な力学、電磁気、微分積分と線形代数を学んでいることだけを前提に、30題の例題を通して一歩ずつ学んでいく。
 1章は現代の物理でもっとも重要な概念である対称性について学び、ニュートン力学、特殊相対論、マクスウェル方程式、一般相対論を対称性という観点から理解できるようになるための準備を行う。2章では、ローレンツ変換をキーワードとして特殊相対論を学んで行く。第3章では、ベクトル解析の復習をしながら、マクスウェル方程式の構造を調べ、ローレンツ変換との関係を学ぶ。第4章では、リーマン幾何学を簡単な例から始めて、リーマンテンソルやリッチスカラーが計算できるように訓練をする。第5章ではアインシュタイン方程式がどのように構成され、どのように解かれるのかを例題で学んでいく。具体例としてシュバルツシルト解を求め、ブラックホールがそこに現れることを見る。第6章では宇宙論の発展の概略を学び、重力波、フリードマン方程式を例題で理解しながら、宇宙論の学習の準備をする。
 各章の始めに「まとめ」を置いてその章の内容を説明し、例題には「解答」のまえにまず「考え方」を置いた。読者の意欲持続の助けになるように、アインシュタインやその周りの人たちの逸話や写真も記載している。
 「専門家をうならせる」ことではなく、「読者が相対論を理解する」ことを最優先として執筆された本であり、読者が自ら手を動かして、無理なく相対論が学べる演習書となっている。