宇宙物理学(KEK物理学シリーズ 3)

高エネルギー加速器研究機構 監修, 小玉 英雄 著, 井岡 邦仁 著, 郡 和範 著

4,400円(税込)

共立出版

 KEK素粒子原子核研究所に創設された宇宙物理学理論グループの現在のメンバーが総力を結集して書いた宇宙物理学の教科書。
 素粒子宇宙論、高エネルギー天体物理、宇宙線の全般についてその基礎から最前線の研究までカバーする。
 本書の構成は以下の通りである。まず、序章の第1章では現在の宇宙の姿、宇宙モデル・宇宙進化の基礎事項を概観し、第2章以降で詳しく解説する諸テーマの背景・動機を明らかにする。続く第2章~第5章では、高エネルギー天体現象に関連したテーマを扱う。
 まず、第2章では、天体物理の基礎となる星の構造・進化についてその要点を解説した後、第3章では謎に満ちた壮絶な星の死である超新星爆発とガンマ線バーストについて、第4章では星の死後に生み出される中性子星、ブラックホールの引き起こす驚くべき現象について、最後に第5章では、宇宙からのメッセンジャーである超高エネルギーの宇宙線・光子・ニュートリノや重力波について最新の研究を紹介する。
 次に、後半の第6章~第9章では初期宇宙に関連したテーマを解説する。まず、第6章では現在、宇宙初期を探る最も有用な手段となっている宇宙マイクロ波背景放射(CMB)の起源について、続く第7章では宇宙初期における元素合成、第8章ではダークマター、バリオン非対称性など宇宙物質の起源について解説する。
 最後に第9章では、ビッグバン宇宙を生み出すメカニズムとして最も有力視されている宇宙のインフレーションについて、その基本的なアイデア、様々なモデル、その観測による検証について詳しく解説する。