マルチフェロイクス ―物質中の電磁気学の新展開―(基本法則から読み解く物理学最前線 2)

須藤 彰三 監修, 岡 真 監修, 有馬 孝尚 著

2,200円(税込)

共立出版

 電磁気学は完成した学問であると考えられているが、現在、物質中の電気と磁気の結合が大きな注目を集め、改めて基礎研究が行われている。特に、「マルチフェロイクス」と総称される一連の物質群の中では、マクスウェル方程式では考慮されていない電気と磁気の結びつきが存在する。
 この電気と磁気の結びつきを利用することで、従来の電磁気学では考えられない物理現象が発見されている。
 本書では、物理学を学びつつある、あるいは一通り学んだ学部生、大学院生、社会人、研究者を対象として、「マルチフェロイクス」に関する研究の最前線を紹介する。
 本シリーズ「基本法則から読み解く 物理学最前線」の趣旨に則り、学部の1年生から3年生の段階で学ぶ電磁気学、熱・統計力学、量子力学、量子化学などの基本的な法則から一歩一歩概念を書き進めていくことで、最先端の研究を理解できるように構成を考えた。これらの基本法則は、マルチフェロイクスのみならず、物性物理学の幅広い研究分野の最前線を理解するうえでも必要となる共通知識でもある。
 本書の内容は、物理学の基本法則がどのように物性物理学の最前線と接点を持っているのかを理解するうえでも、大いに役立つだろう。