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バリア技術とは、フィルム、ゴム、接着材、ボトル容器などの材料が、酸素や水蒸気などのガスや蒸気、また水などの液体を遮断する特性に関する技術である。
これまで、バリア材料の開発とそれらのバリア性評価の検討は、1950年代から続く食品包装フィルムの分野で主に行われ、ボトルなどの容器へと展開されてきた。しかし近年急速に発展している有機ELや太陽電池などのフレキシブル基板で必要とされるバリア性は、食品包装分野で求められるバリア度よりも数桁厳しいとされており、従来とは違った視点からのハイバリア性に関する基礎科学と応用技術の構築が求められるようになっている。この流れが従来の食品、医薬品やエレクトロニクス部材などの包装分野での新しい展開の可能性を広げる相乗効果ももたらしている。さらに、有機ELや太陽電池などのデバイス全体として見た場合、フレキシブル基板だけでなく封止材にも同レベルのバリア性が要求されている。また、封止材を厚くしたシーリング材は、土木・建材分野の防水・防湿や、自動車等の安全性を担うオイルシールなどにも展開されている。
このように幅広い産業分野で必要とされているバリア技術であるが、その基礎は同じである。科学技術だけでなく学問としても成熟してきている。本書は、このバリア技術の基礎科学と応用技術を体系的にわかりやすく解説する教科書として、バリア技術を専門に取り扱う国内唯一の学術団体である一般社団法人バリア研究会が責任を持って監修した。