量子統計力学 ―マクロな現象を量子力学から理解するために―(フロー式 物理演習シリーズ 10)

須藤 彰三 監修, 岡 真 監修, 石原 純夫 著, 泉田 渉 著

2,200円(税込)

共立出版

 量子統計力学は、気体や固体の熱的性質や磁性を量子力学から理解する“ミクロとマクロをつなぐかけ橋”であり、物理学系の学生はもちろん、化学、工学から生物学系の学生まで現代ではその修得が必要不可欠な学問分野となっている。
 一方で、量子力学と古典統計力学の両方の知識が必要であることや、複雑で技巧的な計算を伴うことから、これを理解して自ら使うことが難しい分野でもある。
 本書では30題の基本的な例題とそれぞれの例題に密接に関係した90題の発展問題が掲載されている。これらを解くことを通して、古典統計力学の復習から、フェルミ粒子系・ボーズ粒子系の性質、格子振動・電磁場の統計力学、相互作用のある系の統計力学まで、基礎的事項の理解と簡単な応用問題の解法を身に付けることができる。
 各章の冒頭にある<内容のまとめ>には、問題を解く際に身につけておきたい事項が記載されており、これを読むだけでもこの分野の全体像を見渡すことができる。
 また<解答>や<ワンポイント解説>では、詳細な式変形や初心者が陥りやすく通常の演習書では省略しがちなポイントが詳しく記述されている。
 本書を自ら手を動かして学習することで、量子統計力学の計算が身に着くのみならず、その物理的なイメージを描くことができるとともに、量子力学や古典統計力学を既に修得した人が物性物理における場の量子論や多体問題を学ぶうえでの基礎を築くことができるものと期待される。