人工知能入門

小高 知宏 著

2,530円(税込)

共立出版

 人工知能の研究は、世界初のコンピュータが稼働し始めたばかりの1950年代に始まりました。その後、さまざまな人工知能技術が誕生し、コンピュータの発展とともに大きく成長して行きます。21世紀の現在、かつては想像すらできなかったほど強力になったコンピュータパワーに支えられて、人工知能の技術はまさに大きく花開きつつあります。さらに、爆発的なインターネットの発展により、人工知能技術を活用できる応用領域は、果てしなく拡大しつつあります。

 人間が言葉で話しかけるだけで、人が一生かけても調べつくすことのできない膨大なデータから望みのデータを瞬時に選び出してくれる技術、これは人工知能技術の応用例の一つです。あるいは、ネットショッピングで好みの商品をさり気なく提案してくれたり、不要なメールをより分けてくれるのも人工知能技術の成果です。SNSに出現するボットや、コンピュータゲームに花を添えるAIプレーヤーは、まさにArtificial Intelligence、すなわち人工知能そのものです。私達のコンピュータライフは、人工知能技術に支えられていると言っても過言ではないでしょう。

 また、普通のコンピュータでは格納することができないほどの巨大なデータに対してさまざまな手法を適用することでデータ解析を行うビッグデータ解析は、最近発展しつつある人工知能技術応用分野の一つです。計算機の能力が人類の知的能力を上回る時点のことを意味する技術的特異点(シンギュラリティ)は、21世紀中頃に迎えることになると予想されていますが、この時何が起こるのかについては人工知能研究分野でもさまざまな議論がなされています。

 本書では、こうした人工知能研究の成果を広く系統的に示すことで、人工知能の成果がどのように生まれたのか、また、今後どんな分野に人工知能技術が適用可能かを述べたいと思います。具体的には、探索による問題解決、知識表現と推論、学習、自然言語処理、進化的計算と群知能、それに自律エージェントなど、人工知能という学問領域を構成する基本的分野を網羅しています。本書ではこれらを、現代的な視点からわかりやすく解説します。また、ビッグデータ解析やディープラーニングなどの先端技術や、技術的特異点などの現代的でホットな話題も、人工知能の基礎を踏まえた上で紹介します。

 これから人工知能を学ぼうとする人、一般向けの人工知能の解説書では物足りない人など、人工知能に興味のある読者に広くおすすめできる、学び始めに最適の一冊です。