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技術にかかわる事件・事故が頻繁に起こり、生命と安全を脅かす事態を招き始めた。科学技術の負の側面が社会に強く影響を及ぼしている今、技術者が共通して習得すべき能力として「技術者倫理」がクローズアップされ、JABEEの必須教育となっている。
本書はこの「技術者倫理」を、工学部の学生が将来、実社会で直面するであろう倫理問題(ジレンマ・葛藤)を課題として、身につける内容となっている。
単なる知識の習得ではなく、実社会で求められる問題解決能力とは何か、倫理的な判断能力とは何かを、学生が実感できるテキストである。
本改訂において、最も大きな変化は第II部「事例研究」編の分野別構成をなくしたことである。
これは現在の学科名称が全国的に多様であり、ボーダーラインが明確でなくなっていること、将来にわたり技術者が直面する問題が一つの分野の知識では解決が困難であるため、
多様な事例にふれることが必要であることが理由にあった。
また、技術者倫理教育において、学生の自立的なケースメソッドの重要度が高いことを重視し、事例の見直しもおこなった。過去の事例や仮想事例を調べ、仮想ジレンマを体験する技術者倫理演習の教材としての活用を効果的にするためである。