素数とゼータ関数(共立講座 数学の輝き 6)

小山 信也 著, 新井 仁之 編, 小林 俊行 編, 斎藤 毅 編, 吉田 朋広 編

4,400円(税込)

共立出版

 本書では、一般の幅広い読者が興味を持っていると思われる素朴な意味での素数の性質について、複素関数論を用いずに大学教養程度の数学のみを用いた解説を行った。これにより専門的知識を持たない多くの読者層が、19世紀までの素数研究を概観できる。

 本著は、素数定理と算術級数定理の証明を省略なく self-contained に行うことを主な目的としている。全6章で構成される本著では、まず前半でゼータの研究に必要な技法をまとめ、他の類書では省略されることが多い事項(二重級数、二変数O記号、無限積、ガンマ関数、ポアソンの和公式、オイラーの総和法など)の解説を詳しく行う。続く第3、 4章では、ゼータ関数の基本的な性質を、証明の省略をすることなく一通り解説した。後半では、教科書としては世界で初めて「深いリーマン予想」の解説をしている。「深いリーマン予想」は、最先端の研究が2012年以降に到達した新しい概念であり、リーマン予想研究に新たな指針を与える考え方である。