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インターネットと無線通信が地球の隅々まで覆い、世界中のあらゆる活動がネットワーク化され、相互に依存するようになりました。手のひらに載るスマートフォンをデザインするチームは、世界を覆うサービスプラットフォームを同時に考えなければなりません。つまり、製品をどう作るかではなく、またその製品単体がどう使われるかでもなく、社会のシステムやアーキテクチャをどうデザインするかが求められています。このように、デザインは異なる領域の専門家が協働すべき新たな課題となりました。
世界に目を転じると、これまでの技術では解決が困難な問題に溢れています。環境、資源、経済、人口、災害などは、どれをとっても個々の専門では解決できません。1つの問題が他の多くの問題とかかわる複合的な課題に対応するには、異なる専門を理解し、自らの専門を深めると共に、異なる専門を理解し実践の場で協働ができる人材が必要です。つまり、深い専門に根ざしたデザインコンピテンシー教育が求められています。
京都大学デザインスクールが編纂する本テキストシリーズでは、そのような社会的要請に応えるデザイン概念を定式化し、デザイン学の確立を目指します。新たなデザイン概念を踏まえて、デザインの対象、方法、行為、方法論のあり方を検討し、より良い未来の創造に資するデザイン学を展望します。