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私たちの美意識の基礎には進化的な基盤がある。本書は、ヒトの美的感覚を行動生物学の視点からとらえた本邦初の書籍である。ヒトの美や芸術の特徴を動物との比較によって明らかにすることで、ヒトの美の特殊性に光をあてる。
筆者はこれまで、サカナから鳥類、哺乳類まで多様な動物を使って数々の動物実験を行ってきた。それらの実験で得られたデータをもとに、人間の作り出した芸術作品を動物がどのように認知し、どのような場合に好むのかを解説する。また、動物実験のみならず、実証的美学研究の歴史と現在の研究動向、脳画像を駆使して美を捉える神経美学についても取り上げ、さまざまな側面から美の起源を探る。
この本は悪く言えば「興味本位」、よくいえば「真理探究型」の研究を扱っている。「役に立つ」研究ばかりでなく真理探究型の研究の重要性、面白さを生き生きと伝えながら、美の起源として進化を考える立場の最前線をわかりやすく紹介する。