保険と金融の数理(クロスセクショナル統計シリーズ 6)

室井 芳史 著, 照井 伸彦 編, 小谷 元子 編, 赤間 陽二 編, 花輪 公雄 編

3,300円(税込)

共立出版

 本書は、生命保険、損害保険、金融といった分野において、どのように数学が用いられるのかを解説したものである。

 これらの話題は、伝統的には経済学部など文系学部で扱われていたが、2000 年代に入り、理工系の諸学部においても教育が行われるようになった。過去の保険数学の書籍は、アクチュアリー試験を目的にしたものがほとんどで、学問的な意味での保険数学を意識して執筆された日本語のものは見当たらなかった。また、数理ファイナンスの書籍も、測度論や確率解析などの数学が既知であることを前提にした高度な内容のものか、発展性が乏しい解説本のどちらかであることがほとんどであった。このような状況を顧みて、保険数学や数理ファイナンスなどを学んでみたい学部学生や大学院生を対象に、保険や金融の数学に関する本を執筆することとした。

 分布計算やマルコフ連鎖、確率解析の初歩などの確率・統計における基礎的な話題を多く取り込む一方、他の書物ではあまり触れられることのない初等的かつ興味深い話題も多く取り上げた。理工系の大学1、2 年生で学ぶ線形代数や微分積分、確率・統計を理解している学生や、数学をしっかりと学んだ経済学部の学生であれば、読み進められる内容となっている。