アドバンストリテラシー ―ドキュメント作成の考え方から実践まで―(未来へつなぐ デジタルシリーズ 35)

奥田 隆史 著, 山崎 敦子 著, 永井 昌寛 著, 板谷 雄二 著

2,860円(税込)

共立出版

 この本が生まれたきっかけは2つの“もったいない”である。現代社会において、きちんと相手に伝わる文章、ドキュメントを書くことは、非常に重要になってきている。著者のほとんどが情報系で教鞭をとっているため、限定的にはなってしまうが、せっかく情報系の学習をしてきたのにもかかわらず、“何か”が不足しているために、ドキュメントをうまく書けないために、低い評価を受けるのは“もったいない”のではないかという危機感である。その“何か”に焦点を当てようとしているのが本書である。これが1つ目である。またもう1つの“もったいない”は、Wordを清書、エクセルを表作成だけに用いているのは“もったいない”ということである。
 本書では、文章が苦手な方を対象に、理系・文系問わず大学生を想定し、どうすれば文章を明確に論理立てて書けるようになるかということについて、丁寧に紹介することを目指している。社会に出て活躍している読者にとっても役立つよう工夫している。
この本は2 部(パーツ)構成になっている。
 第1パーツは第1章から第5章である。このパートではアドバンスリテラシーとドキュメントとの関係を述べる。次に研究室配属とドキュメントの関係について述べる。ここではアウトラインを立てることやIMRAD(Introduce、 Methods、 Results and Discussion)形式について触れている。そしてドキュメントを書くときの第一段階である考えを整理することを述べる。次に日本語を書く際の注意方法について述べる。最後にアイディアを生み出すことについて触れる。
 第2パーツは第6章から第10章である。ここには実践的な内容を述べている。第6章ではドキュメント作成に有用なソフトウェアやインターネット上のサービスを紹介する。第7章において英語論文の読み方とドキュメントにおける英語アブストラクトの書き方を述べる。第8章においてアンケート調査の考え方と調査方法の設計について述べる。第9章ではWordによるアウトライン作成を中心とする技法について述べる。第10章ではドキュメント作成に必要なLATEXのコマンドについてまとめている。
 各章のはじめにはその章の学習のポイントやキーワードを示し、各章の内容を確認できるようになっている。また、各章の終わりには、演習問題をつけており、読者の理解度を確認できるようにしている。
 この本により2つの“もったいない”を解決するきっかけにして欲しい。