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本書は、通年の講義で、行列の定義からジョルダン標準形・行列の指数関数までがハウ・ツーで扱えるように編集されている。ややこしい定義や定理は付録に回し、例題と問いを解いていくことで基礎的な計算ができるように工夫されている。
複素数を行列を用いて定義しているので、行列の指数関数のところで結果として、複素変数の指数関数・オイラーの公式も使えるようになる。その応用として連立微分方程式も解く。
またベクトルが苦手な学生のために、幾何ベクトルを丁寧に扱っている。特に外積を十分に使いこなせるような題材を選んである。
その他の特徴として、付録は自主学習ができるように全ての事柄に証明をつけている、行列式は置換を表に出さずに公理的に扱っている、多重線形性と交代性が露わになるようにしている、ジョルダン標準形・正規行列・実対称行列・実交代行列の順に標準化を行い、その性質を調べている、全空間は一般化された固有空間の直和で表されることを議論の中心としている、といった点が挙げられる。