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リーマンにおける数学の現代的刷新については、すでに内外において数多の著書が出版されており、多くの論者がさまざまな角度から論じている。本書では、リーマンを19世紀西洋数学における「存在論的革命」の牽引的存在として位置付け、リーマンによる空間概念の刷新および現代化の数学的・思想的意義を論じながら、そのより深い層に、数学対象の現代化、特にその存在様式・存在原理の思想的転回があることを明らかにしていく。
最初にリーマンの生涯および業績、またリーマン以前を中心とした西洋数学史を大まかにまとめる。次に、リーマンの学位論文「複素一変数関数の一般論の基礎(Grundlagen fur eine allgemeine Theorie der Functionen einer veranderlichen complexen Grosse)」で展開された、リーマンによる複素関数論について議論する。そして、教授資格取得講演「幾何学の基礎をなす仮説について(Uber die Hypothesen、 welche der Geometrie zu Grunde liegen)」を吟味し、リーマンによる空間概念の考え方を検討する。その後、リーマンによって導入された多様体について、歴史的なスケールを交えて考察する。また、数学者ガウス、および哲学者ヘルバルトからの影響も論じる。さらにリーマンによる空間概念の、現代数学への波及効果に触れ、最後に結論を述べる。
死後150年以上経ってなお現代数学に強く影響を与えているリーマン。その数学と思想を別々に取り扱うのではなく、横断的に論じていく、極めて斬新な書である。