古典的名著に学ぶ微積分の基礎

高瀬 正仁 著

2,750円(税込)

共立出版

 微分積分学の歴史は古く、西欧近代の数学がいよいよ大きな盛り上がりを見せようとする黎明の時代、17世紀にまでさかのぼる。その後、微積分が発展していく流れにおいて、ロピタル、オイラー、ラグランジュ、コーシー、フーリエ、ピカール、グルサ、ジョルダン、デデキントなど、大物数学者が著した書物が、その理解・発展に重要な役割を果たしてきた。また、日本においても、高木貞治著『解析概論』(岩波書店)や藤原松三郎著『数学解析第一編 微分積分学』(内田老鶴圃)といった名著が読み継がれてきている。
 本書では、名著として名高い古典的著作を適宜引用しながら、著者独特の語り口で、微積分の基礎を解説していく。『解析概論』を軸とし、『数学解析』や西欧の古典的名著の数々をその周辺に散りばめながら、関数とは何か、数とは何か、無限級数の収束とは何か、微分とは何か、積分とは何かなど、「微積分の厳密化」に関して考察を進めていく。
 微積分の理論的側面のみならず、その歴史的流れも捕らえ、なおかつ数学を創った人びとが持っていたであろう、論理的厳密性の根底に横たわる数学的実在感を感じとることも可能となる、稀有な一冊である。