複素数と複素数平面 ―幾何への応用―(数学のかんどころ 33)

桑田 孝泰 著, 前原 濶 著

1,870円(税込)

共立出版

 複素数は代数方程式の解を求める過程で発見されたといわれている。
正でも、負でもなく、その大きさを数直線上の数と比べることのできない「2乗すると-1になる数」を導入するにあたっては、相当な抵抗を覚えたに違いない。しかし、ひとたびその数を許容すれば、オイラーの等式をはじめとする美しい世界を垣間見ることができる。
 本書では、そんな複素数をイチから解説する。
 1章では複素数を導入し、2章では複素数平面の基本事項を確認する。3章では、メネラウス、シムソン、トレミー、パスカルの定理など、初等幾何の定理を複素数を用いて証明する。4章では、空間図形の平面への正射影に関するガウスの定理を紹介する(類書ではあまり見かけない内容であり、複素数に慣れ親しんでいる読者も新しい発見ができるだろう)。5章では複素関数を導入し、代数学の基本定理や不動点定理などを導く。
 本書は予備知識がなくても読み切ることができ、複素数による数の世界の広がりと、その応用への効力を実感できる内容となっている。