情報理論のための数理論理学(数学のかんどころ 31)

板井 昌典 著

2,090円(税込)

共立出版

 高等学校や大学の初学年で数理論理学を学習するが、多くの場合、命題論理・述語論理の初等的な学習までに留められてしまい、この分野にどういった応用例があるかを学べる機会は限られている。
ただ、命題論理・述語論理の応用などを学びたい・知りたいと思った場合でも、現状では、数学基礎論寄りの非常に高度な専門書に取り掛かるほかない。
 本書では、そのような「初等的な数理論理学の『その少し先』を学びたい」という意欲ある読者が、高度な専門書に取りかかれるまでの足掛かりとなる基礎知識を提供する。

 命題・述語論理、真理値表の書き方、量化記号(∀、∃)の意味などを学んだあとには、「形式的証明・形式手法」について学ぶ必要がある.本書では、命題論理の形式的証明について、ヒルベルト流の体系を用いて通常の入門書よりやや詳しく解説する。
 また、ブール代数についてもかなり詳しく解説している。「ブール代数を定式化するために、一体いくつの公理が必要か」ということについては、長い研究の歴史がある。特に自動証明による手法は、人工知能による数学問題の証明という面からも興味深い内容となっている。

 これらは、数理論理に興味がある学部生・修士のほか、計算機科学を学ぶ読者にも知っておいてほしい知識であると考えている。