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本書は、最小二乗法と交互最小二乗法およびその計算に関連する話題を取り上げたものである。
最小二乗法は、現代統計学において、推定値を求めるときに最もよく利用されるが、意外と原理や考え方の基本に立ち戻って説明されることは少ない。また、質的データの最適変換や複数の制約条件から推定値を求める同時推定などに利用される交互最小二乗法も、最小二乗基準の立場から個別手法の解説を行っているものは多くない。そこで、最小二乗基準を核として、最小二乗法と交互最小二乗法のそれぞれについて、理論、性質、計算へと説明を進め、両手法の深い理解を図ろうとするのが本書である。特に、それぞれの導入部分では、わかりやすい例を用いて原理の説明を行う工夫をし、交互最小二乗法では、それが利用される推定法として、非計量主成分分析のみならず、最近の手法(k平均クラスタリング、同時プロクラステス分析、スパース行列因子分析)についても触れている。さらに、効率的な計算として取り上げた交互最小二乗法の計算の加速化は、他では多く取り上げられていない話題である。
ツールとして使っているが、意外と正確なところを知らない最小二乗法と交互最小二乗法の原理を理解し、積極的に問題解決に応用してもらうことを意図した解説書が本書である。