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変数選択問題は統計学における重要な問題の一つである。この問題に対して、近年、変数選択とモデルの推定を同時に行うスパース正則化を用いる方法が開発された。この方法によって、従来では扱うことが難しかった高次元データに対しても変数選択が実行可能となり、スパース正則化法は一気に注目されるようになった。さらに、変数選択だけでなく、データ発生の疎性構造を抽出するという、より一般的な観点からの研究が進むようになり、たとえば、グラフ構造における辺選択などにも拡張されている。これらの方法は総称してスパース推定と呼ばれ、統計学の基本ツールになりつつある。
本書は、スパース推定の入門的内容から発展的内容までを解説している。実用性を重視するため、スパース推定を用いた統計モデリングを中心にできるだけ数多く解説し、「スパース推定を用いると、こういう統計解析が可能になる」というような、統計解析におけるスパース推定の有用性を実感できるよう心掛けた。また、理解の助けとするために、紹介する手法の数値例をできる限り載せるようにし、数値例を実行するための具体的なRによる解析コードも載せている。学部3、4年生から大学院生、企業における実務者、技術者を対象としており、本書によってスパース推定による統計解析技術を習得することができる。