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大学で「分子生物学」をはじめて学ぶための教科書.15回講義に適する.分子生物学のコアである「転写・翻訳・複製」の解説に注力し,解析技術の原理も含めて深い理解を得られるよう構成.クラシックな手法はもちろん,新しい塩基配列決定法やゲノム編集など新奇な技術にも触れ,現代の分子生物学を概観できる.採用者には図版データや問題集を進呈.
●学びサポートサイト●
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本書の読者に向けて,オンラインコラムや追加問題,補足資料を提供しています.
刊行によせて
1968年,私が大学に入って初めての生物学の講義は,1965年にJ. D. Watsonによって執筆された “Molecular Biology of the Gene” をもとにしたものでした.「生物学はこれから大きく変わる.」講義を担当された丸山工作先生の言葉にとても刺激され,教科書を夢中で読んだことを覚えています.細胞がどうして増えるか,がん細胞は普通の細胞とどう違うか,味覚や記憶をはじめ愛情までもが “分子の言葉” で理解できるようになるかもしれない....とても興奮しました.
それから50年あまり,「分子生物学」との訳語を得た「Molecular Biology」の発展には目を見張るものがあります.数千種類の細菌,ヒトを含めた動物,植物の遺伝子がカタログ化され,インターネット上で瞬時にその発現様式を知り,その遺伝子にコードされたアミノ酸配列,三次構造を知ることができます.分子生物学は,生理学,免疫学,発生学,微生物学,生化学などすべての医学・生物学分野で必須となっています.2019年12月に現れたCOVID-19に対するワクチンは,多くの人の予想を超え,驚くほど速やかに開発されました.これまでの分子生物学が築いてきた知識と技術がなければ到底なしえなかったことでしょう.
西澤幹雄先生は1990年代初頭,私の研究室で動物の遺伝子の発現機構を解析し,日々の発見にともに興奮した仲間です.本書で一人でも多くの人が分子生物学の面白さを知り,この分野に加わることを願っています.
大阪大学・栄誉教授
長田重一