セレンディピティ

Royston M. Roberts 著, 安藤 喬志 訳

1,760円(税込)

株式会社化学同人

ペニシリンやナイロン,面ファスナーなどのような日常生活に関わる発明,ニュートンの重力理論やビッグバン,DNAなどのような科学的に重要な知識,そしてロゼッタストーンやポンペイ遺跡,死海文書のような考古学上の重要な発見まで,「偶然」の要素が大きく関わっていた.歴史を変えた発見にまつわる興味深いエピソードを紹介し,小さな偶然とそれを見逃さなかった洞察力が,数々の成功へとつながる創造の過程を追った名著,文庫版で復活.

<目次>
1章 史上初のストリーカー
2章 新世界の発見
3章 マラリアにかかったインディオとキナキナの木
4章 りんごはなぜ垂直に落ちる
5章 カエルの脚と電池(電池/電磁気学)
6章 乳しぼりの女と天然痘のワクチン
7章 元素発見をめぐるさまざまな物語(酸素/ヨウ素/ヘリウムおよび他の貴ガス)
8章 麻酔剤発見の栄誉をめぐる争い
9章 有機化学を生んだ尿素合成
10章 ダゲールと写真の発明
11章 天然ゴムと合成ゴム(合成ゴム)
12章 分子でも左手型と右手型では大違い
13章 合成染料と合成顔料をめぐって(パーキンとモーブ/グレーベとリーベルマンとアリザリン/壊れた温度計とインジゴ/ダンドリッジとモナストラルブルー)
14章 夢から生まれた分子の建築
15章 ノーベル賞とダイナマイト
16章 象牙や絹糸をつくる(セルロイド/レーヨン)
17章 新しい化学工業を生んだ実験室での偶然
18章 努力しないで成功するには――考古学におけるセレンディピティー(予想外の「掘り出し物」/干上がった湖/自然に現れた遺物/自然もときには手助けする/爆弾でも助けになる/少年と洞窟/スポンジダイバー)
19章 天文学におけるセレンディピティーとの遭遇(ビッグ・バン/パルサー/冥王星の月)
20章 医学における偶然の発見(インスリンの発見/アレルギー、アナフィラキシー、抗ヒスタミン薬/ナイトロジェンマスタードとがんの化学療法/ピル(経口避妊薬)/LSD/パパニコロー法/光と新生児黄疸/コレステロール受容体)
21章 X線、放射能、そして核分裂(レントゲンによるX線の発見/ベクレルによる放射能の発見/人工放射能と核分裂)
22章 どんなに甘くても太らない
23章 飛び散らない安全ガラス
24章 抗菌性物質――発見への道(サルファ剤――ドーマク、フルノー、トレフェル夫妻/マガイニン類――カエルの皮膚から得られた抗菌物質)
25章 成功の決め手――冷延伸法
26章 装置の漏れと汚れがくれた贈り物
27章 原子爆弾からフライパンまで
28章 「花」理論とアンチノック剤(エチル液/メタンからガソリンをつくる)
29章 偶然見つかった予想外の効き目(アスピリン/向精神薬/不整脈治療剤――これで夜もぐっすり/ミノキシジル――髪の毛もびっくり/インターフェロン――がんと関節炎)
30章 汚水と泥からとれた薬(セファロスポリン/シクロスポリン)
31章 拓かれた有機合成の大地(ヒドロホウ素化(ハイドロボレーション)/アルケンの合成)
32章 タフな奴――ポリカーボネート
33章 現代生活への贈り物(アイボリー石鹸/コーン・フレークスとウィート・フレークス/ポスト・イット/スコッチガード)
34章 生命の渦巻き
35章 着想、誤解、そして偶然
36章 クラウンとクリプタンド
エピローグ――偶然はいかにして発見となるか