データ同化流体科学 ―流動現象のデジタルツイン―(クロスセクショナル統計シリーズ 10)

大林 茂 著, 三坂 孝志 著, 加藤 博司 著, 菊地 亮太 著, 照井 伸彦 編, 小谷 元子 編, 赤間 陽二 編, 花輪 公雄 編

3,630円(税込)

共立出版

 本書は流体工学の知識を有する理工系学生・技術者を主な対象とし、計測データに基づいて計算機援用工学(CAE)シミュレーションの精度を向上させるデータ同化の基礎から実装、そして、応用までをバランス良く学ぶための教科書である。
 データ同化理論および数値流体力学に関して簡潔に説明したあとで、データ同化アルゴリズムを数値流体力学コードにおいて実装する際の詳細を説明するようにした。特にアンサンブルカルマンフィルタにおけるアンサンブルの推定結果への影響や4次元変分法におけるアジョイントコードの具体的な構築方法など、通常、専門書や論文には十分に記述されないノウハウ的な内容も可能な限り解説した。本書で使用したデータ同化コードはWebサイトから自由に入手できるので、本書の内容と合わせて利用いただくことでデータ同化に対する理解がさらに深まると考えられる。
 機械学習・深層学習の応用分野の広がりによってベイズ推定の有用性が改めて認識されている中で、数値シミュレーションと計測データを使ってベイズ推定を実現するデータ同化は、数値シミュレーションや実験計測に取り組む研究者・技術者にとって問題解決のための新たなアプローチとなりうると期待される。