カプラン・マイヤー法 ―生存時間解析の基本手法―(統計学One Point 12)

西川 正子 著

2,530円(税込)

共立出版

 イベント発現までの時間を観察してそれらのデータ解析をすることは生存時間解析と呼ばれている。生存時間解析の基本的な手法であるカプラン・マイヤー法(KM法)は、シンプルな計算によってイベントの経時的な発現/非発現状況の分布を要約し、生存関数を推定する方法として広く用いられ、汎用の解析ソフトも豊富である。本書では、統計の基礎知識があまりなくても理解できるように数値例を用いて、KM法の詳細や解析ソフトが出力する生存率の信頼区間、生存関数の信頼帯、生存時間中央値やパーセント点およびそれらの信頼区間の読み解き方について説明し、さまざまな文献での適用例を紹介している。
 これまでの書籍では、一見は異なるように見える数通りの数式表現によってKM法が解説されているが、これらの表現の違いについても丁寧に説明する。また、生存時間解析においてよく用いられる分布とその特徴、シミュレーション実験方法をわかりやすく解説している。

 さらに、KM法はノンパラメントリック法であるが、 仮定や条件は何もいらないというわけではない。KM法の仮定とそれに基づく全く別のKM法の表現、右側再分配の特性について数値例を用いて解説している。応用では、KM法の仮定が成り立たないような競合リスクが存在する場合、KM法の誤用事例が散見される。KM法の適切な利用法とイベント発現率の推定方法を、数値例を用いながら解説する。
 また、観測データに区間打切りデータが存在する場合にもKM法は頻用されている。その際、右側中途打切りデータがある場合の問題点とその原因を数値例により説明する。シミュレーション実験によりターンブル法と比較した結果も示している。発展的内容として、生存時間解析においてよく用いられる分布とその特徴、競合リスクが存在する場合のKM法の適切な利用法とイベント発現率の推定方法も扱っている。観測データに区間打切りデータが存在する場合のKM法の問題点とその原因を数値例により説明する。シミュレーション実験によりターンブル法と比較した結果も示している。
 上記の内容は、日本語の書籍にはほとんど書かれていないため、統計の知識がある研究者や実務家にも問題点や対処法はあまり知られていない。本書では、これらについても統計の基礎知識程度があればわかるように説明している。