メタマテリアルのつくりかた ―光を曲げる「磁場」とベリー位相―(マグネティクス・イントロダクション 2)

日本磁気学会 編, 冨田 知志 著, 澤田 桂 著

2,750円(税込)

共立出版

 日本磁気学会 令和2年度 出版賞受賞

 本書は科学に興味がある高校生を主なターゲットとして、科学の面白さ、そして科学するこころについて伝えたいと執筆しました。
 磁気分野で最前線のトピックであるメタマテリアルとベリー位相は、近年注目を浴びています。しかしながら、それぞれ性質が常識外れであったり、高度な物理・数学の知識を必要としたりするために、プロの研究者にすら敷居が高く感じられ、きちんと理解されていないのが現状です。そこで本書では、予備知識が必要ないように基礎的な事柄から丁寧に説明し、数式を一切用いることなく、メタマテリアルとベリー位相の直観的イメージを伝えることを試みました。
 そのために我々が用いた武器は「アナロジー」、つまりたとえ話です。様々なアナロジーを駆使することにより、光と電子と物質という異なる対象に共通する考え方を学び、それらの立場を行ったり来たりしながら、メタマテリアルとはどういう考え方で、ベリー位相を用いるとどういうことが可能になるのかを説明しました。
 最終的にはメタマテリアルを用いて光を自在に操ることが、光のベリー位相理論でどのように考えることができるかを伝えます。
 結果として本書は高校生のみならず、大学生、及び専門内外の研究者にもリーダブルになったと感じます。本書の内容が読者のこころのどこかに示唆を与え、様々な思索を巡らせて新しいアイディアを生みだすきっかけとなれば、それは私たち筆者の望外の喜びです。

【本書の対象】
科学に興味がある高校生(たとえばスーパーサイエンスハイスクール在校生など)およびその関係者(教師や父兄)、大学生、専門外の研究者(工学、化学、生物学)、専門の研究者(物理)